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あぁ手作り阿修羅道! [・ビアヘックス]


「ビアヘックス」は布ボードから
王冠コマなどの部材デザインが先に出来上がりました。




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「酒場テイスト」のイメージに合わせ
タイトルロゴ案の確定させた頃には、
いよいよ化粧箱のデザインを進めることになります。





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「ビアヘックス」は通常の化粧箱を使わず、
インパクトのある形状にできないものかと、
様々なサンプルを取り寄せていました。




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何度か作者である齋藤さんと打ち合わせをする中で、
黒くてコンパクトなこのケースが選ばれます。




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説明書を含め、内容物をまとめれば、
1段に収納できますが、見た目もカッコよく、
布ボードもきれいに収納できることから、
2段組みのものを採用しています。

とてもいい化粧箱なんですが、ひとつ大きな弱点が・・・

なんとこの箱は、制作者が自分で組み立てる、
いわゆる「組み箱」なんです。

しかも2段組みにしたので、作業量は倍になります!!





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つづいて化粧箱の引き出しの方向に対して、
ロゴをどう見せるかを検討した時の画像です。

「ビアヘックス」は黒箱にシールを貼る仕様になっています。

もちろんシールもひとつひとつ貼ることになります!!!!





気がつけば齋藤さんの負担が多い仕様になってしました。

本来ならばサポートしたいところですが、
齋藤さんが遠方に住んでいるということもあり、
お任せすることになります。

ありがたいことに「楽しんで作業しています!」と言っていただき、
ちょっと安心していたのですが、
ここからさらに恐ろしいことになります・・・



齋藤さんが手作り阿修羅道にハマるのです・・・




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円形チップの裏面に接着される磁石が、
よりコンパクトで強力なものに変更されていました。

しかもSN極の向きも統一されてますw




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次に額装版の検討が始まりました。

そのまま額に入れるのではなく、スプレーのりを使用し、
布ボードにシワが出ないように固定。

板磁石を仕込み、王冠コマが額に張りつく工夫が凝らされています。

な、なんという手間のかけよう・・・




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さらにアルミ削り出しの高級額縁を取り寄せ、
豪華版も作り始めるのです!!!!



余裕を持ったスケジュールで進められた「ビアヘックス」ですが、
齋藤さんのこだわりと手作業によって、
さらなるバージョンアップが繰り返されました。

ハッピーゲームズではとてもできませんね。







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「ビアヘックス」はゲームマーケット大阪に合わせて再販されています。

今回も齋藤さんの手作り阿修羅道が炸裂!
ギリギリまで増産したそうですが、
どうしても手間がかかる作品です。
一度在庫がなくなると再販までに時間がかかります。


気になる方は、この機会にぜひ
BrainBrainGames(P17ブース)にお越しください!
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羅針盤と十字架になるまで [・ビアヘックス]

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「酒場テイスト」なゲームとして
デザインの方向が決まった「ビアヘックス」。

布ボードに合わせて王冠の色も金と銀になりました。

個人的には無垢の金属感が気に入っており、
そのまま採用したかったのですが、
齋藤さんからビールの王冠をイメージしたデザインも
見てみたいというご提案があり、
いくつか検討することになりました。



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BrainBrainGamesとハッピーゲームズをイメージした王冠デザイン案。
長崎と東京の地ビールという設定です。
王冠にシールを貼る仕様でデザイン検討が進みます。

悪くはない...というか、むしろ個人的には気に入っているのですが、


脳ミソとガイコツで...


凄 ま じ く 禍 々 し い で す ね w



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一応、視認性チェックのために画像合成もしています。
いや、悪くはないんでs(略




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このタイミングで王冠の裏側に配置される円形チップの仕様が決まりました。

これまでのテストプレイでは磁石にシールを貼る仕様でしたが、
ちょっとチープなので、他の部材や仕様を検討していました。

なんということでしょう......
齋藤さんが手作業で紙製の円形チップに磁石を接着するというのです。

かなり無茶な試みなのですが、実はこのあと続く......

「手作り阿修羅道」のはじめの一歩でしたw





ここからは、王冠と円形チップの両方を同時にデザインしています。




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「脳みそ」=思考+「ダイス」=運というコンセプトでデザイン変更したものです。
同じデザインですが、王冠と円形チップで色調を変えています。

このデザインは齋藤さんに気に入ってもらえたものの、
自分の中ではしっくりこず、別の方向性を模索しています。



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ビールの王冠というイメージを離れ、
王冠にケルト文様、円形チップに宝石をモチーフにした案です。


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王冠のケルト文様は気に入ってもらえましたが、
円形チップに宝石の代わりに
ボードのテクスチャーを入れたいという提案が返ってきます。

盤面が地味になるので、気がすすみません。


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代案として王冠は無垢のまま、
円形チップにケルト文様を配置したものを提案しています。

盤面にもケルト文様を加え、ルールをわかりやすく誘導できるようにしたのですが、
盤面に集中できないということでボツになりました。


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ケルト文様自体は気にいてもらえていたのですが、
自分自身が面白さを感じられなくなったので、さらにもう1案検討しています。

BrainBrainGamesの本拠地である長崎をイメージし、
「羅針盤」と「十字架」をモチーフにしたデザインです。

自分の中でも、ようやく纏まったという実感が湧いてきました。



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齋藤さんにも気に入ってもらい、最終的にロゴもアールデコ調に変更。
このデザインで進めることになります。




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ビールの王冠案はそのままお蔵入りする予定でしたが、
齋藤さんがとても気に入り別売のシールとして採用!

しかも金属の質感を出せる高級仕様!
ゲームマーケットでは、おまけとしても配布されていましたね。




さて、予定より長くなったので今日はここまで。


手作り工作をコンセプトに始まった「ビアヘックス」は、
お洒落な方向にデザインの方向を変えていきました。


......が、手作り工作を諦めない齋藤さんが、
ここから阿修羅道に踏み込むことになりますw




次回がたぶん最終回。



引き続きよろしくお願いします!






つづく
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「酒場テイスト」なゲームをデザインするのに・・・ [・ビアヘックス]

昨日、BrainBrainGamesの齋藤さんが「ビアヘックス」の制作ノートを公開しました。

「ビアヘックス」制作メモ



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制作ノートの最後で、パスを出してもらっていますので、
デザイン面についてのアレコレを思い出しながら語っていこうと思いますw












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最初にご依頼のメールをいただいたのは2020年の6月。

コロナの影響で「ゲームマーケット大阪」「ゲームマーケット2020春」が中止になり、
外出禁止の日々が続く中のことでした。


当時のメールを読むと、ゲーム内容よりも、
ハードルの高い手作り制作をすることに目が止まりますw

その日に返信したメールもその確認だけですねww






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最初期の齋藤さんの構想としては、ビールの王冠や木材を使って、
自分だけのオリジナルコンポーネントを制作するという企画でした。

プラモデルの完成品と組み立てキットをイメージしてもらえるとわかりやすいかな。


・齋藤さんが手作り制作したゲーム

・手作り制作ゲームのキット



この2種類を販売するというものでしたが、
さすがにそれは無茶だろうと反対しています。




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この後に送ってもらったゲームボードのイメージラフ。

この段階ではゲームテーマは、
前作「フリップフロップ・エージェンツ」と同じく「スパイもの」でした。

最初期はゲーム内容よりも、部材等についてのやりとりがつづきますが、
ゲームシステムについては、お話しいただいた段階でかなり面白く、
製品版の「ビアヘックス」とほぼ同じルール。

息子とテストプレイを何度かしましたが、
「お父さんのつくるゲームより面白いんじゃね?」という高評価(泣)




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王冠を使うことから逆算して、
A4サイズにまとまるように、再設計したものがこちら。

仮タイトルとして「ベルリン1984」が入っています。
スパイコマを配置して、自分の陣営の情報ラインを繋ぐという設定。

ステンシルシート(スプレー用の型紙)として使用できるように考慮していますが、
黒、赤、黄の三色塗り分け含め、かなり難易度の高い設計になっています。

一点ものならまだしも、量産するのはリームーっすねw

実際に量産できるかテストしてもらいましたが、
やはり厳しいという判断になり、
齋藤さんを「手作り阿修羅道」へ突き落とさずに済んだと、
この時喜んだことを覚えています・・・。




王冠をコマとして使うことが確定。

テーマが「スパイもの」から「酒場テイスト」に変更された頃には、
手作り生産とは別に、通常印刷にした場合どうするかの検討も進めています。




SAITO0623.jpg

SAITO0629.jpg


ネスターゲームズのアブストラクトゲーム群をはじめ、
ヘックスを使用したゲームの見た目は、良くも悪くも似てしまいます。

そこで六角形のデザインから、どこまで離れられるかということを課題に、
いくつかのデザインラフを検討してみました。

手作り制作版では、スプレー缶をつかって、
木材や壁にボードを描くことを想定していたので、
ヨーロッパのグラフィティアートをイメージしています。





部材の仕様が決まらないまま7月に突入。

手作り制作の野望を捨てきれない齋藤さんから、
2種類の仕様で作れないかという提案をいただく。

「過去ボード」レトロ感のある西部劇風、手作り部数限定
「未来ボード」カラフルなSF風、通常印刷量産


「過去ボード」は齋藤さんお任せすることにして、
「未来ボード」のデザインをどうするかアイデアを練り直し。



SAITODARK.jpg

グラフィティアートをイメージしたものを
シルバーとゴールドでまとめ直したものです。

素材には、バーなどの酒場で遊べるようにしたいという要望から、
「グラギャモン」同様、布地ボードを提案していますね。

このデザインがテストプレイ場となっている長崎のサニーバードでも、
「テーマはよくわからんが無闇やたらにカッコイイ」と評判になったとのこと。




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東京でもテストプレイをしています。
写真はボードに合わせ、王冠の色を金銀に変更できないか提案した時のものですね。

この時点では王冠にシールを貼る予定でしたが、
金属の質感が大変よく、無垢のままでいいのではないかと提案しています。



この頃のメールを見ると「東京の感染者数150人勘弁して欲しい」なんて書いてありますね(ウヒー




何度かの打ち合わせの末、「未来ボード」の方向性が定まりました。

齋藤さんが検討していた「過去ボード」は
制作困難なこともあり、残念ながらボツにすることが決定。


ようやくタイトルも「ビアヘックス」に決定し、
作品としての方向性がまとまってきました。






・・・が、ここで思わぬハプニング・・・






なんと、「ビール」がタイトルに入っているゲームをデザインしているのに・・・






痛 風 に な り ま し た w






うげげげげげ...

コロナの影響でこもりっきりになっていたのが悪かったのか、
もともと尿酸値が高かったのですが、
しばらく動けぬ日々が続くことになりました。

実はこの頃すでに禁酒をしていたんです。
なんかこう釈然としないですねぇw




これ以降、痛風なのに「酒場テイスト」なゲームをデザインすることになります^^




さて次回は、王冠のラベルやそ化粧箱といった、
ボード以外のデザインについてお話ししたいと思います。



引き続きよろしくお願いいたします。




つづく

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パッケージはゲームの顔 [・フリップフロップエージェンツ]

パッケージはゲームの顔ともいえる部分です。
どんなに面白いゲームでも、
プレイ意欲がわかなければ遊んでもらえません。

今回は「フリップフロップ・エージェンツ」の
パッケージデザインを中心に話を進めたいと思います。



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「フリップフロップ・エージェンツ」では、
カードで使われているイラストを組み合わせて、
ひとつの絵柄なるようにしています。



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最初期に検討したデザイン案です。
カードで使われている「モブ」以外のメインキャラ総出演。
オールスターキャストのスパイ映画をイメージしています。

キャラのサイズやトリミングでメリハリをつけていますが、
小箱サイズのデザインとしては、ちょっと要素が多いですね。

この段階で作者の齋藤さんと打ち合わせ。
作品としてのメインキャラを「ジゴロ」ではなく、
「レフティ」にしたいという提案をいただく。

「007」などのスパイヒーローものなので、
「ジゴロ」を主役にイメージしていましたが、
殺し屋である「レフティ」のイラストの方が気に入ってもらえたようです。




image0822_RGB.jpg

自分の中では「レフティ」は端役だったので、
主役に見えるよう表情を変え、
イラストをバージョンアップすることにしました。

背景色はカード裏で使用している黄色を採用していますが、
地球儀があるなら青の方がしっくりくるというご提案をいただいて、
さらに再調整を進めることになります。




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最終的にはこちらのデザインになりました。
あらためて比べてみると、
キャラクターの表情や小道具も、
カードの修正に合わせ、少しずつ手直ししてますね。

「フリップフロップ・エージェンツ」のタイトルロゴは英語表記がメイン。
カタカナと比べ、どうしても視認性が劣り、雰囲気重視になります。

スペースの狭いパッケージ側面では、ロゴの英語部分を縮小し、
カタカナをメインにして視認性を上げています。

側面上部は本来なら文字の向きが180度逆になりますが、
小箱ゲームではこの向きを採用するケースが多く、
相談の上、採用しています。




BOX2.jpg

つづいて裏面です。

小箱の場合、掲載できる情報がかなり絞られます。

デザインする際は、内容物やロゴなど、外せない情報を
できるだけコンパクトにレイアウトしています。

カードサイズは表記すると喜ばれますね。

注意事項は文字は小さくても目立つように配色しています。

・・・が、当初オプション予定だった「カード立て」が、
印刷入稿後、封入特典にできることにw



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こちらは齋藤さんからいただいている文字原稿。
文面にもあるようにアレンジしてレイアウトしています。

小箱の場合、ゲーム内容の原稿はできるだけ短い方がいいですね。

「どういうゲームなのか」「どういう世界観なのか」
この2点の内、どちらを優先して伝えるかを
イメージしながらレイアウトするといいでしょう。





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依頼主であり作者の齋藤さんはかなり決断が早く、
スピーディな対応をしてもらえたので、
「フリップフロップ・エージェンツ」は予定より早く入稿できました。

デザインを進めるうえで、テンポはとても重要です。

スケジュールに余裕ができれば、
新しいアイデアを試すこともできます。




「フリップフロップ・エージェンツ」での経験は、
BrainBrainGamesさんの次作「ビアヘックス」でも活かすことができました。


「ビアヘックス」に関しても、近いうちに書いてみたいですね。



3月28日にインデックス大阪で開催される「ゲームマーケット大阪」では、
P17ブースにBrainBrainGamesさんが出展いたします。

もちろん「フリップフロップ・エージェンツ」も販売されていますので、
会場に行かれる方はぜひチェックしてくださいね!


BrainBrainGames公式サイト




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デザインする時に気をつけていること [・フリップフロップエージェンツ]

スパイものの世界観をモチーフに
デザインすることになった「フリップフロップ・エージェンツ」。

キャラクターデザインを進めるのと同時期に、
タイトルロゴとUIの検討もしています。


UIというのはユーザーインターフェースの略ですが、
ひらたくいうとゲームの中で使われる、
アイコンなどのデザインや文字書体、
レイアウトのことだと思ってください。

これらがきちんと機能しないと、
ゲームのルールが理解しにくかったり、
プレイミスが多発することになります。



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初期段階で提案したタイトルロゴ案が
作者の斎藤さんに気に入ってもらえたので、
「フリップフロップ・エージェンツ」では、
ゲーム内で使われているアイコン類を
タイトルロゴに盛り込めないかと検討しています。

タイトルロゴは英語をメインに、
カタカナを小さめにレイアウトする方向で
初めから検討しています。

ただ注意したいのは、英語ロゴは文字として認識されるのではなく、
図案の一部として認識されるということです。
これについてはまた後日。


アルファベットの大文字小文字の使い方や、
アイコンを加えたバランスでいくつかバリエーションを用意しました。


ゲーム中に登場するふたつの陣営のマークは、
数字の「0」と「1」をモチーフにスパイっぽさを加えています。

「家族で遊べる」というコンセプトもあったので、
少しキッズ向けの雰囲気も残しています。





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長崎と東京。
それぞれテストプレイでの反応を報告しながら、
ルールとデザインをブラシュアップ。

ゲームの内容物もいただいた意見を参考に、
少しずつ変化していきました。



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ゲームで一番重要な人物カード。
表面には、キャラクターのイラストに加え、
プレイに必要な情報が記載されています。

裏面は共通でそれぞれの陣営のロゴが大きく描かれています。

「フリップフロップ・エージェンツ」は
2つの陣営のどちらに属しているかが重要な要素なので、
強く印象づけたいところです。

UIは「目で追う順番」を考えながら、
「わかりやすさ」と「カッコよさ」を両立できるように心がけています。

プレイしやすいよう見せたい順番を意識して、
デザインで自然に演出できるとベストですね。


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要素としては、
・所属している陣営
・名前
・スパイナンバー
・性別
・特殊効果で影響を与える方向

最初期のものには、特殊効果の内容がテキストで記載されたものもありました。
性別に関しては、男性は青、女性は赤で色分けすることで解決しています。

ラフの段階でもかまわないので、カードの情報量をみるためにも、
イラストは組み込んだ方がいいですね。


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矢印をどれくらい強調するか、何度かバリエーション出しをしています。

「目で追う順番」を考える際に、
イラストと矢印のどちらを優先させるか悩ましいところです。

この頃になると、イラストに色が加わっていますね。



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特殊効果の内容はサマリーをつけるため、
カードでは確認しないということになりましたが、
英語だけでも入れてみないかという提案で調整したものです。

背景やアイコン位置など、一部のカードに差をつけて比較しています。


CARD&STAND+.jpg

最終的にはこんな感じに仕上がりました。





つづいてはサマリーとチップです。

カードの特殊効果がどう影響するか整理しやすいように、
情報を簡潔にまとめる必要があります。


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同じ情報量でも、並び方や順番で理解度は大きく変わります。

時にはわかりやすさを優先して、キャラクターの並びや、
ルール調整することもありますね。

作者である齋藤様さんと、なにが重要なのかを確認しながら、
レイアウト調整していきます。



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だいぶスッキリしてきましたね。
ところがここで大きな課題が出てきました・・・


色弱対応です。


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プレイヤーごとに色分けされたチップを使うのですが、
アプリを使ったテストでは、
チョイスしていたカラーリングでは色弱対応が難しいことがわかります。


斎藤さんから、なんとかしたいというオーダーが入りますw



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なんとかしましたw

プレイヤーはエージェントを操るスパイマスターだという設定にして、
それぞれMr.REDなどのコードネームをつけちゃおうという苦肉の策ですが、
個人的にはとても気に入っています^^

チップも表裏で絵柄を変え、アルファベットをレイアウトすることで、
色弱対応できるようになっています。

以前に制作した「幻影探偵団」での経験が活かせましたね。




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最終的には裏面に英語対応されています。
いい感じにまとまったんじゃないでしょうか。






もうひとつプレイにかかせないのが回答用紙です。

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テストプレイの最初期から、一番改良を繰り返した部材じゃないでしょうか。

どうすればルールがわかりやすく、プレイしやすいかも重要ですが、
枠だけだとなんか寂しいですね。ワクワク感もありません。

なかなか悩ましいところです。


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メモ欄の他に、ルールの補足が加わっていますね。

ゲームが3ラウンド行うことから、それぞれのラウンドに都市名をつけて、
スパイたちが世界を飛び回っているように演出するアイデアを盛り込んだのもこの頃。


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最終版の一歩手前でしょうか。
回答用紙のサイズを含め、フレーバーを含む要素などを比較。
書き込み欄にダーゲットをイメージした地紋がレイアウトされています。
遊びやすさだけではなく、面白さが伝わってきます。

UIは見やすさだけではなく、世界観とのリンクも重要ですね。



ENG+.jpg

シンプルにみえるものでも、実は検討の積み重ねだったります^^



さて、だいぶ完成がみえてきましたね。


次回はパッケージについて書いてみようと思います。



もうすこしお付き合いくださいませ^^






つづく
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世界観を固めよう! [・フリップフロップエージェンツ]

制作者のあいだでは
「ルールが先か、モチーフが先か」ということがよく議論されます。

「フリップフロップ・エージェンツ」の場合はルールが先。

今回は当時のやり取りを確認しながら振り返ることにしましょう。




前回紹介した資料をチェックして、
プレイヤーがカードの書かれた情報を認識して、
きちんとプレイできるか不安がありました。



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まず、ざっくりしたものですが、
テストプレイ用のコンポーネントを組みながら、
ルール確認を進めています。



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このゲームは配られたカードの内容を、
他のプレイヤーは確認できますが、
自分だけは確認できないルールになっています。

特殊効果のある「インディアンポーカー」を
イメージしてもらえればわかりやすいかな?


カードの効果で左右のプレイヤーに影響が出ますが、
レイアウトされた矢印の向きをどうとらえるかなど、
デザインの仮題点がでてきました。

本来ならばここで、UIをしっかり作り込んでいきたいところですが、
やっぱりテーマが決まらないと、デザインの方向性が定まりません。

テストプレイをしてもらいつつ、
ゲームの世界観や、タイトルについても初期から検討することになりました。






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発注いただくまで「罪と罰」という仮タイトルで、
「人狼」「神話」「タロット」といったものを参考に
世界観づくりを進められてきました。

こちらからも陣営が入れ替わるゲーム性をイメージした
タイトルと世界観をいくつか提案しています。

「ソドムとゴモラ」はちょっと性的なイメージ。
「マフィア」は「人狼」のイメージが強いという印象。
打ち合わせを続ける中で、「アベンジャーズ」や「平成ライダー」のような
ヒーローものもどうか?といった検討もありましたね。


その中からまず「諜報員」というキーワードが評判良く、拾われました。

やがてゲームのルールとの整合性を加味して、
「自分がどちらの陣営か分からない二重スパイ」という設定にふくらみ、
冷戦時代のスパイ戦という世界観に落ち着きました!

コンピューター用語から「フリップフロップ」という単語が盛り込まれ、
タイトルが「フリップフロップ・エージェンツ」に決定するまで、
それほど時間はかかりませんでした。


こうしたやりとりも、テストプレイの報告をいただきつつ、
メールと電話を繰り返し進めています。






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世界観が決まるとビジュアルづくりも加速していきます。
「スパイもの」ということで、「007」をはじめとする
個性豊かな諜報員たちのイラストを描くことになります。

当時の手帳にはキャラクター案のラフがいくつか残ってますね。
最終案をイメージできるものもあれば、完全にボツになったものもw



IMAGERAFU.jpg

ある程度キャラクターの方向性がまとまった段階で、
齋藤さんにチェックしてもらっています。

イラスト制作は本業ではないので、かなりドキドキでしたが、
ありがたいことに気に入ってもらえました!

イラスト自体にNGはありませんでしたが、
同時に進めていた諜報員たちのコードネームに「ファットマン」があり、
長崎に投下された原爆をイメージすることから「ビッグマン」に変更されています。

制作者ならではのこだわりは大事にしたいですね!




東京でデザインしたものを、
長崎でテストプレイしてもらう。

こうしたやりとりがしばらく続くことになります。




さて、次回はタイトルロゴやUIについて書いてみようと思います。

またお付き合いください。
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ひとつだけオーダーが・・・ [・フリップフロップエージェンツ]

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ありがたいことにご依頼いただいて
ボードゲームのグラフィックデザインを担当することが増えてきました。

今回は備忘録もかねて、BrainBrainGamesさんからご依頼を受けた、
「フリップフロップ・エージェンツ」の制作ノートを書いてみようと思います。

最近ブログをさぼってましたので、ちょっとたどたどしいですが、
リハビリだと思ってお付き合いください^^







BrainBrainGamesの主催・齋藤さんとは、
ご依頼を受けるまでに交流がありました。

きっかけは名作「トリックと怪人」を通販で購入したことでしたが、
ご依頼いただいたのは趣味でつくった「ニワトリかラマか」のサマリーを
公式化してもらったあとの2019年7月下旬になります。

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「ニワトリかラマか」サマリー制作





連絡いただいた時の初感は、「え?ウチでいいの?」という感じでしたね。

普段グラフィックデザインの仕事をしていますが、
他の方のボードゲームを手がけるのははじめてのこと。

何度かメールでやりとりをさせていただき、
納期的にも対応できそうだったのでご依頼を受けることにしました。

ゲーム内容が大好きな「トリックと怪人」の
系譜に連なるものだったのも大きな要因でした。




当初はデザインの一部を齋藤さん自身が担当するということでしたが、
最終的には説明書以外のデザイン全般を担当しています。

ネットが普及しているとはいえ、長崎と東京に分かれての共同作業。
若干の不安もありましたが、メールと電話をつかって打ち合わせを進めることになります。





どの段階から本格的にデザインを進めるかはケースバイケース。

今回、齋藤さんから許諾をいただけたので、
ご依頼いただいたときの資料を公開します。



image1.jpg

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「善と悪」という仮題が入っています。
ルールの大枠は「フリップフロップ・エージェンツ」とほとんど同じですね。

目まぐるしく入れ替わる「善」「悪」の陣営を予想するゲーム内容は決まっているものの、
この頃はまだゲームの世界観は確定しておらず、
デザインを進めるうえで、まずはそこから決めていくことになりました。

各カードにもテストプレイ用の名前が入っていますが、カオスなことになっています^^



実作業に入る際、まず決めておきたかったのがイラストの方向性です。

残念ながらイラストに関しては、本来専門外でしてw

普段の仕事ではイラストレーターに発注するためのラフ描きがメイン。
ハイレベルな作品に触れることが多いこともあり、あまり自信が持てません。

ありがたいことに齋藤さんから
「グラギャモンの絵が最高でした」というコメントをいただいていたので、
そのテイストですすめることになりました。







・・・が、齋藤さんからひとつだけオーダーが・・・






「グラギャモンの絵が最高なんだけど、

エロ過ぎて家族の目線的につらいwwwwwww」





IMG_1555.jpg


・・・た、たしかにつらいwwwww





そんなわけで、「家族で遊べる」というリミッターを持たせた、
デザイン制作がスタートするのです^^


次回はテストプレイの様子を交え、
世界観の構築について書いてみようと思います。



引き続きお付き合いくださいませ。
 
 
 
 
 
 
  
 
つづく





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