変わらなかったコンセプト [・制作ノート]
ここまでの制作ノートで述べたように、
特典用カードゲームの企画からスタートした『傾国-KEIKOKU-』は、
いくつかの段階を経て、現在の仕様になりました。
しかし、ゲームの基本コンセプトは変わらずにいます。
シンプルなルールで深い心理戦を楽しめる2人用のゲーム
運要素は極力減らし、カードに特殊効果を盛り込まない(傾国はのぞく)
弱者を心理的に追い込むが、そこに面白さを感じさせ、
強者の支配欲、征服欲を満たすが、油断を生じさせるゲームバランス
参考にしたゲームは、
『手本引き』『Eカード』『バトルライン』『グースカパースカ』。
手持ちのカード6枚というのは『手本引き』からきています。
『Eカード』のような心理戦ができるものを目標とし、
『バトルライン』のように数字だけの駆け引きができないか検討しています。
また、カードとチップの構成は『グースカパースカ』からヒントをいただきました。
ボツになったプロトタイプは、コストを切り詰めるために、
カード12枚(6×2)、チップ12枚(6×2)のみの仕様でしたが、
ルールにもいくつかの問題点がありました。
・ゲームに重みがない
・点数計算が面倒
・1ゲームが短い
・引き分けがある
・逆転の要素が少ない
特典物ということもあり、ルールの練り込みをしないまま企画は進み、
最終的にコストの問題でボツになってしまいますが、
後日、自分でゲームを制作することを決めてから、
その問題点の修正に取り組むことになりました。
最初に作ったのはボードでした。
しっかりとしたボードを用意することで、対戦するための舞台が出来、
期待感や緊張感を高めることを狙っています。
また、ボードの周辺部に点数計算用のポイントを入れることで、
自分と相手の点数を分かりやすく表示しています。
1ゲームの短さは、ロングゲームを考案することによって解決しますが、
このボードを制作してから思いついたことです。
ボードのイメージはバックギャモンを参考にしています。
現代のものより、盤すごろくと呼ばれていた時代のものや、
中東などの象嵌細工のものがメインになりますが。
引き分けに関しては、勅令チップを考案することで解決しましたが、
名称をどうするかでだいぶ悩みました。
当初は玉璽をイメージしたものを制作しましたが、
時代背景から微妙にズレることもあり、変更しています。
『和氏の璧チップ』『天命チップ』『覇者チップ』などの別案もありましたが、
最後は自分の好みで選びました。
逆転要素として、潜伏者カードを考案しています。
手持ちのカードが1枚なくなることに加え、
正体の分からないカードを使えるという選択肢は、
ゲームに予想以上の深みを与えることとなりました。
最初は1ターン目から使用できるルールでしたが、
ゲーム会に持ち込んだところ、
半数近くのプレイヤーが1ターン目に潜伏者カードを使用してしまったため、
3ターン目以降に使用するという制約を設けました。
結果的に“潜伏”するイメージにも合致しましたね。
プロトタイプから改修した段階で、
『傾国-KEIKOKU-』としての仕様はほぼ確定していましたが、
テストプレイを繰り返したおかげで、
プレイアビリティや、ゲームバランスを向上させることができました。
ただ、提案いただいたことでも、意図的に反映させなかったものもあります。
・拡張カードの増設
・ボードへの文字表記
・先手チップ
・ロングゲームのバランス
拡張カードを用意すれば、ゲームの幅も広がるのかもしれませんが、
同時にルールも複雑になることから採用しませんでした。
『第1ターン』『第2ターン』『潜伏者カード使用可能』などの文字表記があれば、
最初のプレイには有効なのでしょうが、後日じゃまになることと、
試作の段階で文字を入れたものが子供にも不評だったこともあり、
ビジュアル重視のボードのままとなりました。
ボードのステージ部分をチェック柄にしましたが、
先手後手が交互に変わることから、先手チップが欲しいという提案もありました。
しかし、実際にそういったチップを用意しても、
・・・ゲームに集中すると使うの忘れちゃうんですよね^^。
ロングゲームのバランスについてはかなり悩みました。
バランスを優先するなら、バリエーションルールで用意したものの方が上ですが、
モチーフにしている春秋戦国時代の世界観や、
基本コンセプトを優先し、現在のルールに決めています。
ゲームマーケット後、購入していただいた方の感想をいくつか聞かせていただきました。
皆さん楽しんでいただけているようで、なによりです^^。
『傾国-KEIKOKU-』は短時間に手軽に遊べるボードゲームですが、
裏読みをしていくと、がっつり疲れるゲームでもあります。
運要素は少なく、いやらしい数字のせめぎ合いが繰り返され、
負ければ確実に不利になり、じわじわと追い詰められる展開が待っています。
逆転するには相手の裏を読み、プレッシャーをはねのける度胸が必要でしょう。
強者の驕りを叩き潰し、魂を砕くような逆転劇は可能だろうか・・・!?
そんなハードボイルドなセリフをつぶやきながらプレイするもよし。
え〜!マジィ????
わたしが勝ったらクリスマスにぜったいバック買ってねっ!!!!
え?もし負けたら???
ん〜、どうしようかなぁ〜?(微笑
・・・・そんな真の傾国プレイを楽しむもよし。
作者の思惑と違った楽しみ方も見つけていただけたらと思います^^。
さて、制作ノートもいよいよ次で最終回。
最後は春秋戦国時代をモチーフにしたゲームらしく、
司馬遷の『史記』から言葉をいただいて終わりにしたいと思います。
「天道是が非か」
それではまた次回!!
2012-12-12 15:57
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