『ノンオブラートレビュー』が届いた。 [■ゲーム制作おぼえがき]
昨日は、非公開レビューサービス『ノンオブラートレビュー』に応募し、
先行してBGED(Board game every day)でのレビューが公開したところまでを紹介しました。
『ノンオブラートレビュー』をお願いしてみた。
その数日後、『ノンオブラートレビュー』に加え、『プレイヤーアンケート』をいただきました。
今回はそれぞれが、どんなかたちで書かれているのか紹介したいと思います。
『ノンオブラートレビュー』は主催のお二人が、
遊んだゲームの感想を本音でレビューしてもらえるというサービスです。
それぞれどういった視点でレビューしているのかは、
HPに記載されていたものを抜粋させていただきました。
BGED(Board game every day)
テーマとルールの合致、メカニクス同士の組み合わせを特に重視してゲームを評価する傾向があります。広く閲覧されるという性質上、サイトで掲載する記事はよく言えば読みやすさを優先、悪く言えば当たり障りのない事が多いですが、本サービスにて書くレビューについては本音で分析して書かせていただきます。
サイコロ堂
ゲームを売る側の視点としてレビューをします。そのゲームは果たして初見で来たお客様にオススメ出来るか、買って頂いて今後もボードゲームを遊んで貰えるかどうかも評価基準に入ります。
いただいたテキストは Wordのファイル形式になっていました。
『幻影探偵団』、『幻影探偵団』+拡張ルール込みを、
それぞれ2回プレイしていただいた上での感想になっています。
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ハッピーゲームズさま制作
『幻影探偵団』
ノンオブラートレビュー
計2回プレイ。
BGED管理人、サイコロ堂店主の他に、
サイコロ堂に来店したお客様もあわせて全て4人プレイで行いました。
BGEDレビュー
まず、推理ボードゲームを非常によく研究した作品だなと思いました。特に推理用の用紙がかなり練りこまれており、メモを書かなくても推理ができ、スムーズにゲームが収束するのは気持ちがよく、独特の快感があります。
犯人である髑髏王を見つけるのではなく、周りのプレイヤーを特定していく事によって、どんどん構成員が判明していき、最終的に髑髏王が見つかるというゲーム進行を一枚の用紙で理解できるように組み上げたのは見事だと感じました。
同様の推理ゲームであるクルードを遊んだことがありますが、そちらを遊んだ時は別途紙を用意していろいろ書き込んでいました。こちらではそういった余計をメモを取る必要がなく最後まで混乱せずにゲームを遊ぶことができました。
移動フェイズが無く状況が変わらないのと、基本的に質問とその回答は公開するので全員が暇になる瞬間がなくゲームに参加できるので最後まで楽しく遊べます。真相解明をした瞬間にゲームが終了して回答が始まるというのもいい感じだと思います。
一見複雑そうにみえて、遊んでみると直感的に遊べるシンプルなルール構造なので、ボードゲームをほとんど遊んだことがない人でもスムーズに遊ぶことができているのが印象に残りました。
基本的にすべての情報が公開されていくので、消去法で全プレイヤーがある程度真相にたどり着けて「推理ゲーム」としての難易度は低めですね。どちらかというと「数独」に近い論理パズルに似た楽しさを感じました。
途中、特に情報があまり開示されていないところは尋問の繰り返しで探り探りですので、淡々としている印象があります。偶発的なハプニングというのがプレイヤー間の絡みでしか発生しないので、特にそう感じるのかと思います。後半はその揺り戻しなのか、加速度的にゲームが進んでいきますし、アクションカードもプレイされていきますのでその問題は解消されていきました。
一点、防御カードを使うタイミングが少し分かりづらかったです。例えば尋問を行うとき、尋問カードを実際ボードに置く時か、その前なのか、といった具合に。ここはルールブックを読み返せば明記はされていますが、文章の中で説明されているだけで、意識して読まないと読み飛ばすところとなります。手番で行う一連の動作をまとめたフローチャートは必要だと思いました。また、プレイヤーが行う動作の中で、防御カードを使うかどうか問いかけるタイミングを作る「間」は必要かなと感じました。ゲーム的にそういった間を作るルールが無いのはすこし引っかかります。
コンポーネントとしては、チップの裏面も印刷されてると嬉しかったです。容疑者チップについても、裏面が殺害後になっており、裏返すだけでだれが死んでるのかわかるようになっているといいと思いました。
最初のプレイ感としては数独的な楽しさが面白いと感じますが、何度もやっていると、同じような展開の繰り返しとなり、マンネリを感じやすくなると思いました。やはり、しっかりと自分だけが情報を知った状態で真相解明をしたいなと感じました。
というのも一回のゲームプレイでシークレットカードが出るのが数回なので、結局のところ全員同条件であり、出すのは時計調整の意味合いでしかなくなってきました。やはり真相解明などで先手を取る重要性をルールとして用意している以上、自分だけが優位性になれるよう、秘密裏に情報が取れる手段はある程度ある多くある必要性は感じてしまいました。
サイコロ堂店主レビュー
手にとった時に思ったのは、プロダクトのレベルが非常に高いこと。
「幻影探偵団」の文字レタリング、文章や写真の配置などが「こなれている感」があり、マニュアル・コンポーネントのデザインも商業レベルの出来でした。
チップが両面印刷でないのは残念でしたが、それでも十二分に高いレベルのコンポーネントです。
しかし、狙っているかもしれませんが、パッケージデザインが90年台PSソフトを髣髴とさせる、独特の「ダサさ・野暮ったさ」を感じました。
江戸川乱歩的世界観を押し出している、とも感じられましたが、それでもパッケージなどに使用されている色が多く、見づらいです。
また、パッケージからマニュアル、コンポーネントに至るまで一枚もイラストがないのはこだわりでしょうか。
個人的な意見かもしれませんが、パッケージは写真のコラージュではなく、
イラストを使用すると、またテイストが違ったのではないかと思います。
(個人的には江戸川乱歩的世界と聞くと、文庫の表紙のイラストのイメージが強いです)
また、背表紙の写真が少し浮いて見えます。
プロダクトのレベルは高いのに、全体の雰囲気は同人や、昔のコンシューマーゲームを感じました。
インストが終わり、始まる時に思ったのは、手番で出来ることサマリーがあればいいな、ということ。プレイヤーボードがあり、カードサマリーもついているのであれば、カードサマリーの下に、手番ですることをフローチャートで表したサマリーがあってもよいと感じました。マニュアルP4にあるようなフローチャートがそのままあると良いかと思われます。
ルールが簡単なのでプレイを始めて1〜2ラウンドもあればサマリーがなくても問題なく遊べるのですが、最初は僕を含め、戸惑いながらのスタートでした。
探偵手帳(推理用シート)は、今まで遊んだシートを使用するゲームの中でも秀逸の出来と思います。
これのおかげで初心者や、推理ゲームが苦手な人でも簡単に遊べました。
代わりに、推理しているというよりは、ピクロスなどのパズルを遊んでいる気になるということでしょうか。
テーマ設定もよく練られており、個人的には好きな世界観です。
フレーバーを全て読まないと、対立する幻影探偵団たちや、「影男」が分かり辛いとは思います(特に「真相解明」を誰よりも早く行わないとマイナスポイントになってしまう意味など)。
ゲーム展開としては、誰の手番でも全員拾える情報が出てくるので、ダウンタイムを感じることが少ないのが良い点でした。序盤〜中盤の「とりあえず誰か殴りに行く」的な展開はややダレを感じる時もありますが、推理ゲームではよくある展開かと思います。
集中攻撃をされても問題ない(どのみちすぐに違う人へ攻撃対象が移る)のもよいと思います。
後半は1手番ごとに「真相解明をされてしまうのではないか」というドキドキ感があり、初心者からゲームになれた人まで、しっかりと駆け引きが楽しめました。
ただ、アクションカードの使い所は疑問点が残ります。
全員に情報が公開されてしまうので、自分への利点(自分だけが人より推理が進む)が薄いかな、と感じました。
自分のプレイでは防御以外ほとんど使いませんでした。
また、防御を使おうと宣言する前に尋問を行なわれそうになったり、尋問を宣言してして情報を与えてしまうなど、多少の事故が発生しやすいシステムではあると思います。
この手の事故は1回のプレイにつき2〜3度ほどみかけました。
どんなお客様におすすめできそうか、ですが、
パッケージのテイストの問題で、女性のお客様にはあまり手にとってもらえないかもしれません。
自分であればボードゲーム初購入者が手にとった際にはその旨を伝え、別のゲームを推すかと思われます。
また、ヘビーゲーマーにもオススメはできないと思いました。
いわゆるカジュアルゲーマー層、そこそこ経験があり、何個かゲームを購入した経験がある人にはおすすめできると思いました。
お店側としては、このくらいの重さの、カジュアル層向けの商品が少ないので、ぜひ商品棚におきたいゲームです。
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ハッピーゲームズさま制作
幻影探偵団拡張ルール『猟奇耽異-キュリオシティ・ハンティング-』
ノンオブラートレビュー
計2回プレイ。
BGED管理人、サイコロ堂店主の他に、
サイコロ堂に来店したお客様もあわせて、全て4人プレイで行いました。
BGEDレビュー
拡張をプレイしましたが、正直必要性を感じませんでした。推理ゲームとしてある以上、その行動を制限されるようなルールが多く、そのデメリットを受け入れてまで行動するメリットを感じません。
ある程度アクションカードなどがプレイされるようになりますが、テンポ改善になる一方でゲーム自体に変化が生まれるかと言われればそうでもないかと。
基本ルール経験者、未経験者共に遊んでもらいましたが、どちらともに拡張ルールに関しては基本ルールとの差は無いという評価でした。
どの人物を殺すのかというのはプレイヤーの自由意志であり、また、宝石チップを渡すのに関しても操作するのは難しいというゲームルール上、他のプレイヤーが影響を与えるのは事実上無理であると思います。そういった状況で、それぞれのキャラクターに特殊能力があり、勝利点行動があるということは、極端な話「まだ半分くらいわからないけれど、ここで宝石チップをもらうと点数がなくなるから真相解明する」や、「宝石チップがひたすらほしいからカード使いまくる」といった当初想定して設計したゲームプレイとは違った流れを作りそうであると感じました。
それぞれのプレイヤーが、共通の勝利点取得条件のもと推理する基本ルールと違い、追加の点数条件が追加されると、いわゆる正体隠匿ゲームに近い遊び味を感じました。結果、行動を制限されてしまい、本来の推理ゲームを優先するため追加要素を無視するというような流れの思考となったのは残念でした。
サイコロ堂店主レビュー
基本セットでのプレイ後、拡張もあわせてプレイしましたが、正直なところ、あってもなくてもプレイは大きくは変わりませんでした。
そこまで自分の行動指針に影響しませんでしたし、周りのプレーヤーの動きを推察する要因にもならなかったように感じます。
殺害される団員を選ぶ時、または最後のボーナス時に影響があるくらいでしょうか。
『幻影探偵団』基本セットと拡張ルールが別々の商品として店頭に置いてあると仮定して、お客様に拡張を買うべきか聞かれた時は、拡張はあくまでおまけで、基本セットさえあれば楽しく遊べる、とお伝えすると思います。
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いかがでしょうか。
それぞれの視点で、かなりがっつり書いていただいています。
『幻影探偵団』はいくつかボードゲームを遊んだ方が、
“次”を目指す時に遊んでもらえるよう工夫したゲームなので、
狙いどおりのバランスだと、感じてもらえたようです。
ゲーム会に参加されている方を中心にテストプレイを重ねましたが、
今までに出てこなかった意見や、まったく逆な意見もいくつかありました。
検討材料として、十分活用できる内容だと思います!!
つづいて、『プレイヤーアンケート』を公開いたします。
こちらは『ノンオブラートレビュー』をする際に、同卓した方々の感想をまとめたものになります。
プレイヤーはサイコロ堂に来店したお客さんです。
ノンオブラートレビューとは伝えず、
「こんなゲームを遊んでみるけど、興味ある人一緒に遊びませんか?」
といったかたちで呼びかけ、興味を持った方と遊び、
その後に雑談の様なかたちで引き出した意見をまとめているそうです。
今回いただいたテキストは エクセルによる表組になっていました。
『幻影探偵団』、『幻影探偵団』+拡張ルール込みを、
それぞれ2回プレイしていただいた際の感想になっています。
(アンケートでは、プレイヤーによって遊んだ回数が違います)
ブログではそのまま掲載できないので、JPG画像に変換しました。
ちょっと見づらいですが、画像をクリックし拡大してご覧下さい。
幻影探偵団:基本のみ
幻影探偵団:拡張込み
それぞれのプレイヤーの志向や、プレイしたゲームをもう一度遊びたいか&購入したいかなど、
かなり踏み込んだ部分の感想も書かれています。
さらに備考、考察まで盛り込まれており、どのような方々に遊ばれ、楽しんでいただけたのかが、
しっかりと伝わるかたちになっているので、大変参考になりました。
表がかなり横長になってるので、閲覧やプリントアウトしずらいのが難点ですが、
問い合わせをしたところ、今後改善したいとのことでした。
主催のサイコロ堂様、BGEDの管理人様、
そしてプレイに参加していただいた皆さん、ありがとうございました!!
今回いただいたレビューは、今後のゲーム制作の参考にさせていただきます!!!!
さて、『ノンオブラートレビュー』いかがだったでしょう。
2回に渡り、がっつりキッチリ公開しちゃいましたが、
基本的には非公開で行われるレビューサービスになります。
完成前のゲームでも対応可能とのことですが、
個人的には、ゲームがある程度のレベルまで完成した段階でお願いするサービスだと感じました。
作者の手を離れた状況で、これだけしっかりレビューをしていただける機会はなかなかありません。
『幻影探偵団』はすでに完成したゲームですが、
テストプレイの段階で、ここまで指摘してもらえれば、かなり参考になったと思います。
また、再版を検討されている制作者なら、どこに改良の余地があるか、
検討してみるのもいいでしょう。
とはいえ、予算の関係などで、実現できない場合もありますが・・・^^
ゲムマなどで完売し、改良を加えた上で再版したい方にはベストな企画だと思います。
気になる方は、ぜひチャレンジしてみてください!!
遊んだ人の本音が聞けるボードゲームテストプレイ・レビューサービス
「ノンオブラートレビュー」
沖縄に行く機会はなかなか作れませんが、
今回テストプレイの会場にもなったサイコロ堂様には、一度お邪魔してみたいですね。
プレイスペースでは、色々なボードゲームが遊ばれているようです。
お近くの方は、ぜひお立ち寄りください!!
アナログゲームショップ サイコロ堂
先行してBGED(Board game every day)でのレビューが公開したところまでを紹介しました。
『ノンオブラートレビュー』をお願いしてみた。
その数日後、『ノンオブラートレビュー』に加え、『プレイヤーアンケート』をいただきました。
今回はそれぞれが、どんなかたちで書かれているのか紹介したいと思います。
『ノンオブラートレビュー』は主催のお二人が、
遊んだゲームの感想を本音でレビューしてもらえるというサービスです。
それぞれどういった視点でレビューしているのかは、
HPに記載されていたものを抜粋させていただきました。
BGED(Board game every day)
テーマとルールの合致、メカニクス同士の組み合わせを特に重視してゲームを評価する傾向があります。広く閲覧されるという性質上、サイトで掲載する記事はよく言えば読みやすさを優先、悪く言えば当たり障りのない事が多いですが、本サービスにて書くレビューについては本音で分析して書かせていただきます。
サイコロ堂
ゲームを売る側の視点としてレビューをします。そのゲームは果たして初見で来たお客様にオススメ出来るか、買って頂いて今後もボードゲームを遊んで貰えるかどうかも評価基準に入ります。
いただいたテキストは Wordのファイル形式になっていました。
『幻影探偵団』、『幻影探偵団』+拡張ルール込みを、
それぞれ2回プレイしていただいた上での感想になっています。
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ハッピーゲームズさま制作
『幻影探偵団』
ノンオブラートレビュー
計2回プレイ。
BGED管理人、サイコロ堂店主の他に、
サイコロ堂に来店したお客様もあわせて全て4人プレイで行いました。
BGEDレビュー
まず、推理ボードゲームを非常によく研究した作品だなと思いました。特に推理用の用紙がかなり練りこまれており、メモを書かなくても推理ができ、スムーズにゲームが収束するのは気持ちがよく、独特の快感があります。
犯人である髑髏王を見つけるのではなく、周りのプレイヤーを特定していく事によって、どんどん構成員が判明していき、最終的に髑髏王が見つかるというゲーム進行を一枚の用紙で理解できるように組み上げたのは見事だと感じました。
同様の推理ゲームであるクルードを遊んだことがありますが、そちらを遊んだ時は別途紙を用意していろいろ書き込んでいました。こちらではそういった余計をメモを取る必要がなく最後まで混乱せずにゲームを遊ぶことができました。
移動フェイズが無く状況が変わらないのと、基本的に質問とその回答は公開するので全員が暇になる瞬間がなくゲームに参加できるので最後まで楽しく遊べます。真相解明をした瞬間にゲームが終了して回答が始まるというのもいい感じだと思います。
一見複雑そうにみえて、遊んでみると直感的に遊べるシンプルなルール構造なので、ボードゲームをほとんど遊んだことがない人でもスムーズに遊ぶことができているのが印象に残りました。
基本的にすべての情報が公開されていくので、消去法で全プレイヤーがある程度真相にたどり着けて「推理ゲーム」としての難易度は低めですね。どちらかというと「数独」に近い論理パズルに似た楽しさを感じました。
途中、特に情報があまり開示されていないところは尋問の繰り返しで探り探りですので、淡々としている印象があります。偶発的なハプニングというのがプレイヤー間の絡みでしか発生しないので、特にそう感じるのかと思います。後半はその揺り戻しなのか、加速度的にゲームが進んでいきますし、アクションカードもプレイされていきますのでその問題は解消されていきました。
一点、防御カードを使うタイミングが少し分かりづらかったです。例えば尋問を行うとき、尋問カードを実際ボードに置く時か、その前なのか、といった具合に。ここはルールブックを読み返せば明記はされていますが、文章の中で説明されているだけで、意識して読まないと読み飛ばすところとなります。手番で行う一連の動作をまとめたフローチャートは必要だと思いました。また、プレイヤーが行う動作の中で、防御カードを使うかどうか問いかけるタイミングを作る「間」は必要かなと感じました。ゲーム的にそういった間を作るルールが無いのはすこし引っかかります。
コンポーネントとしては、チップの裏面も印刷されてると嬉しかったです。容疑者チップについても、裏面が殺害後になっており、裏返すだけでだれが死んでるのかわかるようになっているといいと思いました。
最初のプレイ感としては数独的な楽しさが面白いと感じますが、何度もやっていると、同じような展開の繰り返しとなり、マンネリを感じやすくなると思いました。やはり、しっかりと自分だけが情報を知った状態で真相解明をしたいなと感じました。
というのも一回のゲームプレイでシークレットカードが出るのが数回なので、結局のところ全員同条件であり、出すのは時計調整の意味合いでしかなくなってきました。やはり真相解明などで先手を取る重要性をルールとして用意している以上、自分だけが優位性になれるよう、秘密裏に情報が取れる手段はある程度ある多くある必要性は感じてしまいました。
サイコロ堂店主レビュー
手にとった時に思ったのは、プロダクトのレベルが非常に高いこと。
「幻影探偵団」の文字レタリング、文章や写真の配置などが「こなれている感」があり、マニュアル・コンポーネントのデザインも商業レベルの出来でした。
チップが両面印刷でないのは残念でしたが、それでも十二分に高いレベルのコンポーネントです。
しかし、狙っているかもしれませんが、パッケージデザインが90年台PSソフトを髣髴とさせる、独特の「ダサさ・野暮ったさ」を感じました。
江戸川乱歩的世界観を押し出している、とも感じられましたが、それでもパッケージなどに使用されている色が多く、見づらいです。
また、パッケージからマニュアル、コンポーネントに至るまで一枚もイラストがないのはこだわりでしょうか。
個人的な意見かもしれませんが、パッケージは写真のコラージュではなく、
イラストを使用すると、またテイストが違ったのではないかと思います。
(個人的には江戸川乱歩的世界と聞くと、文庫の表紙のイラストのイメージが強いです)
また、背表紙の写真が少し浮いて見えます。
プロダクトのレベルは高いのに、全体の雰囲気は同人や、昔のコンシューマーゲームを感じました。
インストが終わり、始まる時に思ったのは、手番で出来ることサマリーがあればいいな、ということ。プレイヤーボードがあり、カードサマリーもついているのであれば、カードサマリーの下に、手番ですることをフローチャートで表したサマリーがあってもよいと感じました。マニュアルP4にあるようなフローチャートがそのままあると良いかと思われます。
ルールが簡単なのでプレイを始めて1〜2ラウンドもあればサマリーがなくても問題なく遊べるのですが、最初は僕を含め、戸惑いながらのスタートでした。
探偵手帳(推理用シート)は、今まで遊んだシートを使用するゲームの中でも秀逸の出来と思います。
これのおかげで初心者や、推理ゲームが苦手な人でも簡単に遊べました。
代わりに、推理しているというよりは、ピクロスなどのパズルを遊んでいる気になるということでしょうか。
テーマ設定もよく練られており、個人的には好きな世界観です。
フレーバーを全て読まないと、対立する幻影探偵団たちや、「影男」が分かり辛いとは思います(特に「真相解明」を誰よりも早く行わないとマイナスポイントになってしまう意味など)。
ゲーム展開としては、誰の手番でも全員拾える情報が出てくるので、ダウンタイムを感じることが少ないのが良い点でした。序盤〜中盤の「とりあえず誰か殴りに行く」的な展開はややダレを感じる時もありますが、推理ゲームではよくある展開かと思います。
集中攻撃をされても問題ない(どのみちすぐに違う人へ攻撃対象が移る)のもよいと思います。
後半は1手番ごとに「真相解明をされてしまうのではないか」というドキドキ感があり、初心者からゲームになれた人まで、しっかりと駆け引きが楽しめました。
ただ、アクションカードの使い所は疑問点が残ります。
全員に情報が公開されてしまうので、自分への利点(自分だけが人より推理が進む)が薄いかな、と感じました。
自分のプレイでは防御以外ほとんど使いませんでした。
また、防御を使おうと宣言する前に尋問を行なわれそうになったり、尋問を宣言してして情報を与えてしまうなど、多少の事故が発生しやすいシステムではあると思います。
この手の事故は1回のプレイにつき2〜3度ほどみかけました。
どんなお客様におすすめできそうか、ですが、
パッケージのテイストの問題で、女性のお客様にはあまり手にとってもらえないかもしれません。
自分であればボードゲーム初購入者が手にとった際にはその旨を伝え、別のゲームを推すかと思われます。
また、ヘビーゲーマーにもオススメはできないと思いました。
いわゆるカジュアルゲーマー層、そこそこ経験があり、何個かゲームを購入した経験がある人にはおすすめできると思いました。
お店側としては、このくらいの重さの、カジュアル層向けの商品が少ないので、ぜひ商品棚におきたいゲームです。
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ハッピーゲームズさま制作
幻影探偵団拡張ルール『猟奇耽異-キュリオシティ・ハンティング-』
ノンオブラートレビュー
計2回プレイ。
BGED管理人、サイコロ堂店主の他に、
サイコロ堂に来店したお客様もあわせて、全て4人プレイで行いました。
BGEDレビュー
拡張をプレイしましたが、正直必要性を感じませんでした。推理ゲームとしてある以上、その行動を制限されるようなルールが多く、そのデメリットを受け入れてまで行動するメリットを感じません。
ある程度アクションカードなどがプレイされるようになりますが、テンポ改善になる一方でゲーム自体に変化が生まれるかと言われればそうでもないかと。
基本ルール経験者、未経験者共に遊んでもらいましたが、どちらともに拡張ルールに関しては基本ルールとの差は無いという評価でした。
どの人物を殺すのかというのはプレイヤーの自由意志であり、また、宝石チップを渡すのに関しても操作するのは難しいというゲームルール上、他のプレイヤーが影響を与えるのは事実上無理であると思います。そういった状況で、それぞれのキャラクターに特殊能力があり、勝利点行動があるということは、極端な話「まだ半分くらいわからないけれど、ここで宝石チップをもらうと点数がなくなるから真相解明する」や、「宝石チップがひたすらほしいからカード使いまくる」といった当初想定して設計したゲームプレイとは違った流れを作りそうであると感じました。
それぞれのプレイヤーが、共通の勝利点取得条件のもと推理する基本ルールと違い、追加の点数条件が追加されると、いわゆる正体隠匿ゲームに近い遊び味を感じました。結果、行動を制限されてしまい、本来の推理ゲームを優先するため追加要素を無視するというような流れの思考となったのは残念でした。
サイコロ堂店主レビュー
基本セットでのプレイ後、拡張もあわせてプレイしましたが、正直なところ、あってもなくてもプレイは大きくは変わりませんでした。
そこまで自分の行動指針に影響しませんでしたし、周りのプレーヤーの動きを推察する要因にもならなかったように感じます。
殺害される団員を選ぶ時、または最後のボーナス時に影響があるくらいでしょうか。
『幻影探偵団』基本セットと拡張ルールが別々の商品として店頭に置いてあると仮定して、お客様に拡張を買うべきか聞かれた時は、拡張はあくまでおまけで、基本セットさえあれば楽しく遊べる、とお伝えすると思います。
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いかがでしょうか。
それぞれの視点で、かなりがっつり書いていただいています。
『幻影探偵団』はいくつかボードゲームを遊んだ方が、
“次”を目指す時に遊んでもらえるよう工夫したゲームなので、
狙いどおりのバランスだと、感じてもらえたようです。
ゲーム会に参加されている方を中心にテストプレイを重ねましたが、
今までに出てこなかった意見や、まったく逆な意見もいくつかありました。
検討材料として、十分活用できる内容だと思います!!
つづいて、『プレイヤーアンケート』を公開いたします。
こちらは『ノンオブラートレビュー』をする際に、同卓した方々の感想をまとめたものになります。
プレイヤーはサイコロ堂に来店したお客さんです。
ノンオブラートレビューとは伝えず、
「こんなゲームを遊んでみるけど、興味ある人一緒に遊びませんか?」
といったかたちで呼びかけ、興味を持った方と遊び、
その後に雑談の様なかたちで引き出した意見をまとめているそうです。
今回いただいたテキストは エクセルによる表組になっていました。
『幻影探偵団』、『幻影探偵団』+拡張ルール込みを、
それぞれ2回プレイしていただいた際の感想になっています。
(アンケートでは、プレイヤーによって遊んだ回数が違います)
ブログではそのまま掲載できないので、JPG画像に変換しました。
ちょっと見づらいですが、画像をクリックし拡大してご覧下さい。
幻影探偵団:基本のみ
幻影探偵団:拡張込み
それぞれのプレイヤーの志向や、プレイしたゲームをもう一度遊びたいか&購入したいかなど、
かなり踏み込んだ部分の感想も書かれています。
さらに備考、考察まで盛り込まれており、どのような方々に遊ばれ、楽しんでいただけたのかが、
しっかりと伝わるかたちになっているので、大変参考になりました。
表がかなり横長になってるので、閲覧やプリントアウトしずらいのが難点ですが、
問い合わせをしたところ、今後改善したいとのことでした。
主催のサイコロ堂様、BGEDの管理人様、
そしてプレイに参加していただいた皆さん、ありがとうございました!!
今回いただいたレビューは、今後のゲーム制作の参考にさせていただきます!!!!
さて、『ノンオブラートレビュー』いかがだったでしょう。
2回に渡り、がっつりキッチリ公開しちゃいましたが、
基本的には非公開で行われるレビューサービスになります。
完成前のゲームでも対応可能とのことですが、
個人的には、ゲームがある程度のレベルまで完成した段階でお願いするサービスだと感じました。
作者の手を離れた状況で、これだけしっかりレビューをしていただける機会はなかなかありません。
『幻影探偵団』はすでに完成したゲームですが、
テストプレイの段階で、ここまで指摘してもらえれば、かなり参考になったと思います。
また、再版を検討されている制作者なら、どこに改良の余地があるか、
検討してみるのもいいでしょう。
とはいえ、予算の関係などで、実現できない場合もありますが・・・^^
ゲムマなどで完売し、改良を加えた上で再版したい方にはベストな企画だと思います。
気になる方は、ぜひチャレンジしてみてください!!
遊んだ人の本音が聞けるボードゲームテストプレイ・レビューサービス
「ノンオブラートレビュー」
沖縄に行く機会はなかなか作れませんが、
今回テストプレイの会場にもなったサイコロ堂様には、一度お邪魔してみたいですね。
プレイスペースでは、色々なボードゲームが遊ばれているようです。
お近くの方は、ぜひお立ち寄りください!!
アナログゲームショップ サイコロ堂
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