既存のゲームをカスタマイズ [■ゲーム制作おぼえがき]
ゲーム会などで参加者の方から、オリジナルのボードゲームを作ってみたいと言われることがあります。
その際に、「どこからはじめたらいいか分からない。コツのようなものはないか」というような質問をされるのですが、正直どう答えていいか分からず「当たって砕けろッ!!」などと無茶なアドバイスをすることも^^。今回は『はじめの一歩』としておすすめな、既存のゲームのカスタマイズについて紹介したいと思います。
いきなりオリジナル作品を作るのは無理でも、プレイして気に入った作品や、ここを改良したらもっと面白くなると感じた作品に出会うことがありますよね。
そういったものを自分なりにカスタマイズすることで、そのボードゲームの作者が、どのようにルールを作り、マニュアルにまとめ、コンポーネントのデザインをしたのかを考えることができます。
では、実際にどのようなかたちでカスタマイズするのか、見てみましょう。
『フリートコマンダー』という、宇宙戦艦のミニチュアを使った2人用のボードゲームです。かなり凝ったミニチュアが同梱されており、そのままでも楽しく遊べるのですが、工夫を加えることにより、さらに素晴らしいボードゲームになります。
フリートコマンダーのコンポーネント&ルール
■ミニチュアの塗装
オリジナルのミニチュアは、グレイの素材にそれぞれの陣営のエンブレムがタンポ印刷されていますが、どうしても地味な印象があります。そこでガンプラマーカーを使って、お手軽塗装をすることにしました。筆は使わず、マーカーと綿棒で塗装していますが、それなりに仕上げられます。
マニュアルに載っているイラストとミニュチュアは、微妙に形状に違います。今回はイメージを保ちつつ、オリジナルのカラーリングに仕上げました。
※拡張セットのミニチュアも含まれています。
いわゆる帝国軍『覇星アミクリィ』の艦隊。
重厚な装甲の隙間から、エネルギーが溢れる感じに配色しています。最後に鉛筆の芯を使ってウエザリングを行い、つや消しのトップコートを吹き付けています。
敵対するエリート企業の集合体『フェーベ同盟』の艦隊。
帝国軍との区別がつきやすいように、船体が発光するようなイメージで塗装。艦首にはさらに発光部分を強調して配色しています。こちらはウエザリングせずに、つや消しのトップコートを吹き付けました。
いかがでしょう。だいぶ見栄えが変わってきますね。もっと手軽にスミイレするだけでも、だいぶ印象が違います。
ボードゲームを制作する場合も、ゲームのテーマや、コンポーネントのデザイン、イラストのクオリティで、遊んだ印象が大きく変わることでしょう。少し敷居が高く感じるかもしれませんがチャレンジしてみてください。
■サマリーをつくる
『フリートコマンダー』のマニュアルはフレーバー要素が多く、世界観に入りやすいものの、肝心のルール説明が分かりにくい部分があります。当然マニュアルを読み込めばいいのですが、はじめてプレイする方にインストする場合、それほど複雑ではないのに、説明しづらいですね。
さらに、オリジナルに比べ、日本語版のマニュアルは小さく、文字も潰れ気味なので、どうしても情報を拾いにくいのも難点です。
そこで、オリジナルのサマリーを制作してみました。
画像や色は極力使わず、インストするための最低限の情報を、どうにかA4サイズにまとめています。
何度かプレイして、細部を微調整してきたので、だいぶ使いやすいものに仕上がりました。
ボードゲームを作る時も、マニュアル制作はかなり苦労します。既存のゲームのものを読み解き、分かりやすくコンパクトにまとめるのは大変勉強になります。レイアウトや字間行間といったデザインの練習にもなりますね。
■コンポーネントを追加する
『フリートコマンダー』のコンポーネントは凝っているのですが、収納しにくいです。どうしてもコストがかかってしまうので仕方がないのですが、もう少し工夫が欲しいところです。
そこで、写真右下にある、収納ケースを作ってみました。
それぞれの陣営ごとにミニチュアを収納できるようになっています。中には仕切りが付けられており、種類別にまとめることができます。
※現在は拡張セットのものも含まれているため、完全ではありません。
収納ケースは、仕切りを外すとダイストレイとしても使える仕様になっています。こういった工夫ひとつで、遊びやすさが変わりますね。
実はこの収納ケース、市販のチョコレートの箱を採寸して改造したものなんです。イチから台紙を作るのは大変ですが、既存のものをマネて作れば、手軽にしっかりしたものを作れますよ。
最近はレーザーカッターや3Dプリンターを使うボードゲーム制作者もいます。こういった工作もできるとコンポーネントの幅が広がります。
『フリートコマンダー』は世界観にどっぷり浸りながらブンドド感覚で遊びたいゲームです。
そこで攻撃の方向を示す、ビーム棒を用意してみました。インストの際に説明しやすくなるだけではなく、見た目もかなりハデになります。
これは東急ハンズで集光材として販売されているものをサイズに合わせ切断したものですが、BGGで紹介したところ好評でした。
宇宙艦のミニチュアを設置する台座はそのまま収納しようとすると、きれいに収まらず、ボードやたのコンポーネントを傷つける可能性があります。そこでスポンジでまとめることにしました。このスポンジも東急ハンズで購入したものですね。
■遊ぶための工夫
『フリートコマンダー』は基本ルールに加え、いくつかの上級ルールが追加されます。いきなり上級ルールで遊んでも問題ないのですが、初プレイの場合、どうしても情報を処理しきれません。
そこで、先ほど紹介したサマリーでは、段階的に上級ルールを追加できるように、レイアウトを調整しています。作者が意図した遊び方ではないかもしれませんが、ボードゲーム初心者と遊ぶ時にも対応できるようになっています。
また、『フリートコマンダー』を遊ぶ時は、1対1の対戦ではなく、ペア戦をおすすめしています。
ダイスを使うゲームなので、どうしても運要素も含まれています。真剣勝負を楽しむより、仲間同士わいわい盛り上がりながらプレイする方が、合っていると思います。
盛り上げるという点では、『フリートコマンダー』にマッチするBGMをいくつか用意しています。プレイ中にiPhoneから流すだけですが、かなり盛り上がります。ちなみにおすすめはSFアニメ・映画の劇伴(『宇宙戦艦ヤマト』『超時空要塞マクロス』『スターウォーズ』など)や、クラシック音楽(『惑星』『ボレロ』など)ですね。
いかがだったでしょう。ちょっとした工夫の繰り返しですが、そのまま遊ぶより、数倍面白くなっていると思います。もちろん手間はかかりますが、気に入ったゲームがあれば、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
そして、オリジナルのボードゲームを作る機会があれば、その時の経験を活かしてください。
その際に、「どこからはじめたらいいか分からない。コツのようなものはないか」というような質問をされるのですが、正直どう答えていいか分からず「当たって砕けろッ!!」などと無茶なアドバイスをすることも^^。今回は『はじめの一歩』としておすすめな、既存のゲームのカスタマイズについて紹介したいと思います。
いきなりオリジナル作品を作るのは無理でも、プレイして気に入った作品や、ここを改良したらもっと面白くなると感じた作品に出会うことがありますよね。
そういったものを自分なりにカスタマイズすることで、そのボードゲームの作者が、どのようにルールを作り、マニュアルにまとめ、コンポーネントのデザインをしたのかを考えることができます。
では、実際にどのようなかたちでカスタマイズするのか、見てみましょう。
『フリートコマンダー』という、宇宙戦艦のミニチュアを使った2人用のボードゲームです。かなり凝ったミニチュアが同梱されており、そのままでも楽しく遊べるのですが、工夫を加えることにより、さらに素晴らしいボードゲームになります。
フリートコマンダーのコンポーネント&ルール
■ミニチュアの塗装
オリジナルのミニチュアは、グレイの素材にそれぞれの陣営のエンブレムがタンポ印刷されていますが、どうしても地味な印象があります。そこでガンプラマーカーを使って、お手軽塗装をすることにしました。筆は使わず、マーカーと綿棒で塗装していますが、それなりに仕上げられます。
マニュアルに載っているイラストとミニュチュアは、微妙に形状に違います。今回はイメージを保ちつつ、オリジナルのカラーリングに仕上げました。
※拡張セットのミニチュアも含まれています。
いわゆる帝国軍『覇星アミクリィ』の艦隊。
重厚な装甲の隙間から、エネルギーが溢れる感じに配色しています。最後に鉛筆の芯を使ってウエザリングを行い、つや消しのトップコートを吹き付けています。
敵対するエリート企業の集合体『フェーベ同盟』の艦隊。
帝国軍との区別がつきやすいように、船体が発光するようなイメージで塗装。艦首にはさらに発光部分を強調して配色しています。こちらはウエザリングせずに、つや消しのトップコートを吹き付けました。
いかがでしょう。だいぶ見栄えが変わってきますね。もっと手軽にスミイレするだけでも、だいぶ印象が違います。
ボードゲームを制作する場合も、ゲームのテーマや、コンポーネントのデザイン、イラストのクオリティで、遊んだ印象が大きく変わることでしょう。少し敷居が高く感じるかもしれませんがチャレンジしてみてください。
■サマリーをつくる
『フリートコマンダー』のマニュアルはフレーバー要素が多く、世界観に入りやすいものの、肝心のルール説明が分かりにくい部分があります。当然マニュアルを読み込めばいいのですが、はじめてプレイする方にインストする場合、それほど複雑ではないのに、説明しづらいですね。
さらに、オリジナルに比べ、日本語版のマニュアルは小さく、文字も潰れ気味なので、どうしても情報を拾いにくいのも難点です。
そこで、オリジナルのサマリーを制作してみました。
画像や色は極力使わず、インストするための最低限の情報を、どうにかA4サイズにまとめています。
何度かプレイして、細部を微調整してきたので、だいぶ使いやすいものに仕上がりました。
ボードゲームを作る時も、マニュアル制作はかなり苦労します。既存のゲームのものを読み解き、分かりやすくコンパクトにまとめるのは大変勉強になります。レイアウトや字間行間といったデザインの練習にもなりますね。
■コンポーネントを追加する
『フリートコマンダー』のコンポーネントは凝っているのですが、収納しにくいです。どうしてもコストがかかってしまうので仕方がないのですが、もう少し工夫が欲しいところです。
そこで、写真右下にある、収納ケースを作ってみました。
それぞれの陣営ごとにミニチュアを収納できるようになっています。中には仕切りが付けられており、種類別にまとめることができます。
※現在は拡張セットのものも含まれているため、完全ではありません。
収納ケースは、仕切りを外すとダイストレイとしても使える仕様になっています。こういった工夫ひとつで、遊びやすさが変わりますね。
実はこの収納ケース、市販のチョコレートの箱を採寸して改造したものなんです。イチから台紙を作るのは大変ですが、既存のものをマネて作れば、手軽にしっかりしたものを作れますよ。
最近はレーザーカッターや3Dプリンターを使うボードゲーム制作者もいます。こういった工作もできるとコンポーネントの幅が広がります。
『フリートコマンダー』は世界観にどっぷり浸りながらブンドド感覚で遊びたいゲームです。
そこで攻撃の方向を示す、ビーム棒を用意してみました。インストの際に説明しやすくなるだけではなく、見た目もかなりハデになります。
これは東急ハンズで集光材として販売されているものをサイズに合わせ切断したものですが、BGGで紹介したところ好評でした。
宇宙艦のミニチュアを設置する台座はそのまま収納しようとすると、きれいに収まらず、ボードやたのコンポーネントを傷つける可能性があります。そこでスポンジでまとめることにしました。このスポンジも東急ハンズで購入したものですね。
■遊ぶための工夫
『フリートコマンダー』は基本ルールに加え、いくつかの上級ルールが追加されます。いきなり上級ルールで遊んでも問題ないのですが、初プレイの場合、どうしても情報を処理しきれません。
そこで、先ほど紹介したサマリーでは、段階的に上級ルールを追加できるように、レイアウトを調整しています。作者が意図した遊び方ではないかもしれませんが、ボードゲーム初心者と遊ぶ時にも対応できるようになっています。
また、『フリートコマンダー』を遊ぶ時は、1対1の対戦ではなく、ペア戦をおすすめしています。
ダイスを使うゲームなので、どうしても運要素も含まれています。真剣勝負を楽しむより、仲間同士わいわい盛り上がりながらプレイする方が、合っていると思います。
盛り上げるという点では、『フリートコマンダー』にマッチするBGMをいくつか用意しています。プレイ中にiPhoneから流すだけですが、かなり盛り上がります。ちなみにおすすめはSFアニメ・映画の劇伴(『宇宙戦艦ヤマト』『超時空要塞マクロス』『スターウォーズ』など)や、クラシック音楽(『惑星』『ボレロ』など)ですね。
いかがだったでしょう。ちょっとした工夫の繰り返しですが、そのまま遊ぶより、数倍面白くなっていると思います。もちろん手間はかかりますが、気に入ったゲームがあれば、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
そして、オリジナルのボードゲームを作る機会があれば、その時の経験を活かしてください。
コメント 0