失敗に終わった『アイオーンの時計屋敷』 [-制作ノート]
今回は制作再開した推理ゲーム『アイオーンの時計屋敷』が、
『幻影探偵団』に変わるまでを書こうと思います。
どのような推理ゲームにしたいのか
ゲーム会に参加するようになって、
『スルース』『ブラックウィーン(ブラック・ヴィエナ)』『クルード』『P.I』
『カテリーナの陰謀』『カサブランカ』『スコットランドヤード』『ドメモ』など、
正体隠匿、推理ゲームとして有名な作品をいくつか遊ばせてもらいました。
遊んでみると、難しいゲームほどストイックさを要求され、
“推理”することが出来ず、“作業”で終わることもしばしば。
逆に推理ゲームと思ってプレイしてみると、推理要素が少なかったり、
ヤマカンで当てていくだけのゲームも多く、物足りないと感じることもありました。
推理ゲームといってもジャンルの幅が広く、
自分の作るゲームをどれくらいの難易度に設定するか悩むところです。
2013年の冬に制作再開した『アイオーンの時計屋敷』は、
『スルース』や『ブラックウィーン(ブラック・ヴィエナ)』などの、
筆記用具を使用する本格的な推理ゲームの入門編を目指しました。
筆記用具を使うのは、どうしても手間がかかるため、
敬遠されることもあるでしょうが、プレイ後の充実感は変えがたいものがあります。
ただ、なるべくハードルを下げて、
初心者にも遊びやすい工夫を加えようとアイデアを練りました。
2013年の年末まで、手帳にイメージラフを繰り返し描きながら、試行錯誤を続けています。
当初は、大時計の針に縛り付けられた美女が、
時間経過で身体がねじ切れるギミックを検討していました。
時計屋敷の間取り図はプレイしやすいように、複雑にしない方向で検討しています。
当時は屋敷の中心に、中庭がありました。
A4のレイアウトにどれくらいの要素を盛り込めるか、ざっくりとチェックもしています。
ネコに見守られながら、布団の上でデザイン検討も^^
手帳に残っているラフ画やメモを見ると、
最初期のアイデアとして、
やりたいことがいくつか書かれています。
・美女と大時計をビジュアル&ギミックに盛り込む
・時間の経過によって変化するゲーム展開
・繰り返すだけの単調な推理合戦にしない
・論理だけではなく、ときにはひらめき(直感)が必要になる
・推理以外の駆け引き要素を加える(推理と駆け引きの比率 5:5)
『幻影探偵団』まで引き継がれている要素が多いですね。
テストプレイ用の『アイオーンの時計屋敷』です。
2014年の1月には、ゲームとして遊べるものに仕上がっています。
『幻影探偵団』のコンポーネントに似ていますが、
ゲームのシステムはまったく違うものでした。
・ダイスを使い、分数計がない
・40〜60分のゲームを3回繰り返して遊ぶ(明治〜平成へと時代が変わる)
・舞台となる時計屋敷が増改築される(中庭のある平屋建て)
・経過によって変わるストーリー要素
・真相カード(もうひとつの推理要素)
この時点でも、かなりの要素を盛り込んでいますね。
当時のコンポーネント一式も保存してあるので、
久々に遊んでみたくなりました(笑)
初陣は惨敗!
ところが、この『アイオーンの時計屋敷』。
まだ調整を始めたばかりとはいえ、テストプレイでの評価はイマイチでした。
2014年1〜2月頃、ボドゲ制作者や友人などにテストプレイをしてもらっています。
感想としては、
・考える要素が多すぎて推理にならない
・長い(苦笑)
・ゲームボードはかっこいい
・・・などなど、残念な結果でした。
やはり自分の力量以上のものを詰め込み過ぎたのが敗因ですね。
ここからルールを含め、大改修していきます。
膨らみ過ぎた要素を削り、
推理ゲームとしてシンプルなルールを目標に再調整していきました。
2014年3月にはコンポーネントだけでなく、
ルールを大きく変えた『幻影探偵団』の原型が誕生しています。
ここでの変更点としては、
・プレイ時間を60分程度にする(長考しない場合)
・ダイスを使わず、捜査によって時間が進むギミックを盛り込む(のちの分数計)
・時間経過で容疑者が死ぬ
・推理以外の逆転要素を盛り込む(のちの宝石チップ)
・屋敷を2階建てにする
・他の容疑者に化けるキャラを入れる(のちの影男)
『アイオーンの時計屋敷』のコンポーネントを使いながらも、
まったく違うゲームを作るつもりで、試せることをやってみました。
『傾国宮の殺人』で採用したアイデアも再活用しています。
まだまだ修正を繰り返すことになりますが、
『幻影探偵団』のゲーム要素のほとんどは、この段階で組み込まれました。
これからしばらく『幻影探偵団』をテストプレイする日々が続きます。
次回はオープンゲーム会や、制作者同士のテストプレイ会での出来事を中心に進めていきます。
つづく
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